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70歳が老後の分かれ道 ── 元気で99歳まで生きるための知恵

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70歳が老後の分かれ道 ── 元気で99歳まで生きるための知恵

健康でいきいきとした生活を99歳まで続けるには、あなたが70代をどう生きるかにかかっているのです。

人生の黄金期「70代」を健やかに楽しむために

みなさん、最近の70代の方々を見ていると、本当に若々しくて驚くことはありませんか? 昔の同じ年代の方と比べると、まるで10歳くらい若返ったように感じます。
実はデータでもそれは明らかで、1980年頃は60代の1割くらいの方が歩くのに苦労されていましたが、2000年にはほんの2〜3%にまで減っているんです。
どうしてこんなに元気になったのでしょうか。その大きな理由は、戦後の栄養状態がぐんと良くなったからです。特にお肉やお魚などの「タンパク質」をしっかり摂るようになったことで、免疫力が高まり、病気になりにくい丈夫な体になりました。皆さんが一生懸命に時代を生き抜き、豊かな食卓を作ってこられた成果です。
アメリカの学者は、元気な60代半ばから70代半ばの世代を「ヤングオールド」と呼んでいます。日本でも最近では、80歳くらいまで、お仕事をされていた頃や若い頃とあまり変わらない元気な生活を送れる方が増えてきました。本当に素晴らしい時代になりました。
ただ、これからの長い人生を考えるうえで、一つ心に留めておきたいことがあります。
医学がどんどん進歩して、新しい治療法や「iPS細胞」のような最先端の医療が広がることで、私たちの寿命はこれからもっと延びていくでしょう。でも、それは体全体が魔法のように「若返る」というわけではないのです。
とくに知っておきたいのが「脳の老化」についてです。人間の体の中で、脳の神経細胞だけは新しく生まれ変わることができず、一生同じ細胞を使い続けます。ですから、どんなに医療が進んでも、今のところ脳の老化を完全に止めるのは難しいと言われています。
実際に、85歳を過ぎると、誰の脳にも程度の差こそあれ、物忘れや認知症の小さな兆候が現れ始めるというデータもあります。「年は取りたくないな」と思うかもしれませんが、これは長く生きてきた勲章であり、人間としてごく自然な変化なんです。
「体は元気だけれど、少し物忘れが増えてきたかな」——そんな風に、ご自身の脳の変化と上手に付き合いながら生きていく時間が、これからの「人生100年時代」にはどんどん長くなっていきます。
そこで、一番の鍵になるのは「70代」の過ごし方です。体がよく動き、気力も充実しているこの時期に、脳と体の若さを保つ習慣をつけておくことがとても大切です。今日から無理なく始められることを、3つほどご紹介します。
一つ目は、しっかり食べて、よく動くことです。 これまで通り、お肉やお魚、大豆などの「タンパク質」を意識して食べましょう。そして、お散歩やラジオ体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣を続けると、足腰だけでなく脳への血流も良くなります。
二つ目は、人とおしゃべりをして笑うことも大切です。 ご友人やご近所さん、ご家族と楽しくお話しすることは、脳にとって一番の栄養です。地域の集まりに参加したり、お茶飲み友達を作ったりして、人とのつながりを大切にしてくださいね。
そして三つ目に、新しいことに「ワクワク」することも忘れないでください。 「これ、面白そうだな」という好奇心が、脳を一番若々しく保ってくれます。新しい趣味を始めたり、行ったことのない場所へ出かけたりして、日々の生活に小さな楽しみを見つけてみましょう。
認知症や物忘れをむやみに怖がる必要はありません。「誰にでも起こること」と大らかに受け止めつつ、今の健康を長持ちさせる工夫をしていけば大丈夫です。
70代は、これまでの経験を生かしながらご自身の人生を味わい尽くす「黄金期」です。ぜひご自分のペースで、毎日の生活に小さな楽しいことを見つけながら、心豊かな日々を過ごしていきましょう。

🌟 老いを遅らせる、70代からの心地よい暮らし方 3つの秘訣

その1:何事においても「完全に引退」はしないこと

皆さんも70代を迎えると、「これからは仕事もやめて、家でのんびり、ゆっくり過ごしたいな」と思われる方も多いのではないでしょうか。一生懸命に働いてこられたのですから、そう思われるのはごく自然なことです。
でも、何の準備もせずにいきなりすべての活動をパタッとやめてしまうのは、急激に老け込んでしまう原因になりやすいと言われています。
お仕事をされていた頃を少し思い出してみてください。たとえ座り仕事であっても、毎日の通勤で歩いたり、職場の人とコミュニケーションをとったり、思いがけないトラブルに対応したりと、ご自身が思っている以上に体と頭をフル回転させていたはずです。それが突然なくなってしまうと、運動機能が落ちてしまったり、認知症のリスクが高まったりすることがあるのです。
特に気をつけたいのが、脳の「前頭葉(ぜんとうよう)」という部分の老化です。ここは、新しいことを思いついたり、相手の気持ちに共感したり、予想外の出来事に対処したりする、いわば「脳の司令塔」です。
この前頭葉が縮んでしまうと、「何をするのもおっくうだ」「面倒くさい」と、あらゆることへの意欲が失われてしまいます。実はこの前頭葉、早い方では40代頃から少しずつ老化が始まっています。ですから、年齢とともに「やる気が出ないな」と感じるのは自然なことなのですが、70代になったら、意識して「活発な生活」を心がけることがとても大切になってきます。
そこでおすすめしたいのが、退職される前に「お仕事の代わりに何をするか」を少し考えておくことです。
もちろん、無理のない範囲で新しいお仕事を始めるのも素晴らしい選択です。アルバイトやパートなど、働き方は何でも構いません。お小遣いになるだけでなく、仕事を通じて「社会とつながり続ける」ことが、何よりの若返りの薬になります。
もちろん、お仕事でなくても大丈夫です。例えば、町内会やマンションの役員を引き受けてみたり、カメラを持って季節の風景を撮影しに出かけたり、あるいは健康に良いお料理について学んでみたりするのも、脳への素晴らしい刺激になります。ボランティア活動や趣味のサークルなど、「誰かの役に立っている」「自分を必要としてくれる人がいる」と感じられる居場所を持つことが、心を元気に保つ秘訣です。
どうか「完全に引退」してしまうのではなく、ご自身のペースで社会と関わりながら、生き生きとした70代を楽しんでください。

その2:老化を遠ざける一番の「お薬」は、働くこと

「もう歳だからゆっくりしたい」と思う反面、実は「働くこと」が何よりの若返りのお薬になる、という事をご存知でしょうか? これには、ちゃんとしたデータでの裏付けもあるんですよ。
例えば、長寿の県として有名な長野県ですが、昔は決して平均寿命が長いわけではありませんでした。しかし、今では男女ともに全国トップクラスの長寿県となり、さらにお元気な方が多いため1人あたりの医療費も全国で一番少ないレベルなのだそうです。 なぜ長野県にそれほど元気なシニアが多いかというと、実は「ご高齢の方の就業率」が全国で何度も1位になっているからだと言われています。
一方で、長寿のイメージがある沖縄県ですが、男性の平均寿命は意外にも全国平均より少し下回っています。その理由の一つとして、沖縄県の男性シニアの就業率が全国で最も低いことが関係しているのではないか、と指摘する専門家もいます。 「それなら、なぜ女性は長生きなの?」と思われるかもしれませんね。女性はご高齢になっても、お料理やお掃除、お買い物といった「家事」を毎日続けることが多いですよね。家事は段取りを考えながら体を動かす立派な活動ですから、それが健康寿命を延ばすことにつながっていると考えられています。
ここでいう「お仕事」とは、現役時代のように効率を求めてバリバリ稼ぐことではありません。これからの人生で大切なのは、長年培ってきた経験やスキル、知識を活かして「誰かの役に立つこと」に喜びを見出すことです。
例えば、これまでに学んでこられた梅干しや納豆といった健康的な食生活の知識を周りの方に教えてあげたり、それを何かの形で発信してあげたりするだけでも、立派な社会貢献になります。
「若い頃のようにテキパキ動けないから」「なかなか成果が出ないから」なんて、気にする必要はまったくありません。ご自身のペースで社会と関わり続け、誰かに「ありがとう」と言ってもらえる場所があること。それ自体が、ご自身の心と体を若々しく保つ最高の秘訣なのです。

その3:長生きしたければ、無理な「ダイエット」はお休みしましょう

テレビや雑誌などでは「健康のためにダイエットを!」という言葉をよく耳にしますよね。もちろん、若い頃はそれが正しいことも多いのですが、70代を迎えてからは少し考え方を切り替える時期に来ています。
お医者様から特定の病気のために食事制限をするよう言われている場合を除いて、この年代になってからの急激なダイエットや粗食は、かえって一気に老け込んでしまうリスクになりかねないのです。
実は、とても安心できるデータがあります。宮城県で5万人もの方を対象に行われた大きな調査によると、痩せている方は、少しふっくらしている方に比べて、6〜8年も早く亡くなってしまう傾向があったそうです。そして一番長生きだったのは、なんと「少々ふっくらしたタイプ」の方でした。
これは日本だけの話ではありません。アメリカで19年かけて行われた調査でも、痩せすぎている方(BMIという数値が18.5未満の方)は、普通から少しぽっちゃりの方に比べて、亡くなるリスクが2.5倍も高かったのです。
日本では健康診断の基準が厳しく、少しお肉がついているだけで「減量しましょう」と言われてしまうことがあります。でも、こうした統計のデータを見ると、無理な減量がご自身の寿命を縮めてしまうかもしれないことが分かります。
ですから、70代になったら、若い頃のような「メタボ健診」の厳しい基準に無理に合わせようと頑張りすぎる必要はありません。むしろ「少しぽっちゃり目」を目標にするくらいが、元気に長生きするためにはちょうどいいんです。
とくに気をつけたいのが「タンパク質」の不足です。お肉やお魚を控えてしまうと、老化が早まり、免疫力が落ちて様々な病気にかかりやすくなってしまいます。毎日の食卓に、サバ缶や納豆、きなこなど、手軽で栄養満点な食材を取り入れて、しっかりと栄養をとる工夫をしてみてください。
美味しくご飯が食べられるのは、体が元気な証拠です。極端な食事制限は避けて、毎日の美味しいお食事を心ゆくまで楽しんでください。

🌟 70代からの健やかな人生を守る「医療との上手なお付き合い」

年齢を重ねると、病院へ行く機会も少しずつ増えてきますよね。そこでまず、大前提として知っておいていただきたい大切なことがあります。
それは、日本のお医者様は素晴らしい技術を持っていますが、基本的には「ご自分が担当する臓器のスペシャリスト」であって、必ずしも「元気で長生きするための総合的な専門家」ではない、ということです。
例えば、心臓や血管を診る内科の先生は、心筋梗塞を防ぐために「コレステロールを下げましょう」と指導してくださいます。でも、体全体で見てみるとどうでしょうか。コレステロールを極端に下げすぎると、今度は免疫力が落ちてしまい、がんなどの別の病気のリスクが上がってしまうことがあるのです。 実際に、たくさんの研究データを見てみると「コレステロールは少し高めの人の方が長生きしている」という結果が多く報告されています。
呼吸器の先生は肺や気管支を、消化器の先生は胃や腸を専門に診てくださいます。でも、「どうすれば毎日を元気に、あなたらしく長生きできるか」という体全体のアドバイスをするお立場ではないんですね。「先生の言う通りにしていれば絶対に安心」という考え方は、70代を迎えたら少しだけ見直してみる時期かもしれません。
答えは一つではありません。ご自身で選んでいいんです
医学の常識は、時代とともにどんどん変わっていきます。昔は「健康に良い」と推奨されていたマーガリンが、今では成分の問題で見直されているように、今の「当たり前」が将来もずっと正しいとは限りません。
だからこそ、70代になったら、お医者様の言葉をそのまま受け入れるだけでなく、「本当に自分に合っているかな?」とご自身で考えたり、別の先生の意見を聞いてみたりする姿勢がとても大切になります。 お医者様のアドバイスだけでなく、身近にいらっしゃる「元気で長生きしている先輩方」の生き方や、日々の知恵を参考にするのも素晴らしい方法です。
では、どんなお医者様を頼りにすれば良いのでしょうか。一番シンプルで分かりやすい見分け方は、「処方されたお薬について、正直に相談してみる」ことです。
70代になると、お薬の効き方や副作用の出方には、若い頃以上に大きな個人差が出てきます。「血圧のお薬を飲んだら、なんだかフラフラして具合が悪いんです」と率直に伝えたとき、あなたの声にしっかり耳を傾け、一緒にお薬の量や種類を見直してくれる先生なら安心です。
(※特に高齢になると、複数のお薬を飲むことで具合が悪くなるケースも多いので、お薬を減らす相談に乗ってくれるかも大切なポイントです)
反対に、「血圧の数値は正常だから問題ないですよ」「お薬をやめて倒れてもいいんですか?」と、患者さんの声を軽く扱ったり、教科書通りの対応しかしてくれなかったりする先生には、少し注意が必要です。
「これまで長くお世話になったから…」という義理立ては、ご自身の健康の前では必要ありません。70代からは、数値を良くすること以上に、あなたが毎日を心地よく過ごせること(生活の質)を最優先に考えてくれる先生を選ぶことが理想的です。 良い先生の病院は混んでいて待ち時間が長いかもしれませんが、あなたの健やかな人生を守るためなら、その時間はきっと待つ価値がありますよ。
ご自身の体の声に一番耳を傾けられるのは、他の誰でもないあなた自身です。どうかご自分の感覚を大切にして、医療と上手にお付き合いしていきましょう。

【まとめ】これからの「人生の黄金期」を豊かに生きるために

それでは最後にもう一度、これまでお話ししてきた「70代からの心地よい暮らし方」の大切なポイントを一緒に振り返ってみましょう。
① 80代、90代の幸せを決める「70代」という黄金期 今、70代の方で介護を必要とする方は本当に減り、80歳近くまで現役時代と同じように活動できる素晴らしい時代になりました。ただ、医学の進歩で寿命が延びた分、「脳の自然な老い」と上手にお付き合いしながら過ごす時間は長くなっていきます。だからこそ、体力も気力も充実している「70代」のうちに、脳と体を若々しく保つ習慣をつけることが、その先の80代、90代の人生をどれだけ楽しく過ごせるかを大きく左右するのです。
② 老いを遠ざける「3つの生活習慣」
「完全に引退」はしない: お仕事を辞めても、社会とのつながりは持ち続けましょう。
「誰かの役に立つ」こと: たとえば、納豆や梅干し、サバ缶といった体に良い食材の知恵をご友人や周りの方に教えてあげるだけでも、立派な社会参加です。それが一番の「若返りのお薬」になります。
無理なダイエットはお休み: 70代からは「少々ふっくら」が一番長生きできる体型です。美味しいものをしっかり食べて、体を守りましょう。
③ 医療とは「賢く、自分らしく」付き合う お医者様は病気を治す素晴らしい専門家ですが、「あなたらしく長生きする方法」の答えは、お医者様だけが持っているわけではありません。お薬の相談をしたときに、あなたの不安に誠実に耳を傾け、一緒に考えてくれる「相性の良い先生」を選ぶことが大切です。これまでの常識やデータ、そして周囲の先輩方の知恵も参考にしながら、ご自身で納得して選んでいく姿勢を忘れないでくださいね。
明日のあなたの笑顔のために
70代のうちに、ほんの少しだけ意識を変えて、若々しい脳と体を保つ工夫を始めること。その小さな一歩が、これからの長い晩年期を、あなたらしく、健やかで笑顔あふれるものに大きく変えてくれます。 どうかご自身のペースで、毎日の生活に小さな楽しみを見つけながら、素晴らしい「人生の黄金期」を味わい尽くしてください。

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